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２０分前でした。私は慌てていました。
一度戻って資料を取ってこなくてはなりません。６：３０に緑ヶ丘の喫茶店で相談所の説明を聞かれたいという男性とお会いする予定です。環七が夕方のラッシュで渋滞していて、いつの間にか６時をまわっていました。
待ち合わせの喫茶店はレンガとちょっとした木立に囲まれ、いつもひっそりと佇んでいました。去年の秋になくなってしまって今はレストランです。お店の中は結構広くて手前は一段下がり木のテーブルが一組置かれていました。そこは入り口のすぐ脇で外から見られてしまいますが、逆に木々や植え込みの緑が望められ、反対側は珈琲豆の販売コーナーだったので人がいなく静かな空間でした。私はなんとなくそこが好きでよく座りましたした。
予約しておこうかな。そう気が付いてお店の前で減速しました。でも見るともうそのテーブルには素敵な長身の男性が座っています。ウヮオーかっこいい！ 雰囲気ピッタリ！ 思わず小さな声でつぶやいてしまいました。 そうかァ、やっぱりあの席にはふさわしい人が座るべきよね。大豚のおばちゃんじゃあね。どうしてこんなに太っちゃったのかしら。なさけない。とぶつぶつ思いながらアクセルを踏んで資料を取りに帰りました。
残念ながらこの世には素敵な人と、そうでない人がいます。世の多くの方からご批判を頂戴するかと思いますが。でも、正直・・
そうでない私達はがんばりましょう。
そうである方達は
どうぞあまり頑張らないで下さいませ。
その素敵な男性が待ち合わせの方でした。大卒理系の方で、大変優秀で仕事の出来る人物でした。とても感じが良くてユーモアーもあり、笑顔の素晴らしい自然体の方でした。頼もしさと少年っぽさが同居している魅力がありました。
何より超ハンサム。１８０センチ近い長身と運動系の機敏な動き。新築の家とカッコいい車とバイク２台。同居なし。
半端でなくおもてになられているのでしょう、とお伺いすると、
いえ、２０代の頃でしたらね、今の職場は回りに女性がほとんどいませんし、仲間のグループはどれも男連中の集まりですからと、低い響きのある声とともに笑顔で答えられました。
ただ、ただ、ため息です。
暮れの押し迫った或る夜携帯が鳴りました。本郷道りの東大赤門の手前で車を脇に寄せました。彼からでした。
結婚することに決めました。いろいろと本当にありがとうございました。
おめでとうございます。
でも結婚されてちょっと残念です。
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